インプレッサ ブースト 0.5病のページ
sorry Japanese only
最終更新日 2004/10/15
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ブーストメーターのページはこちら => ブースト計ページ
その他ページの boost0.5病と内容が重なっていますが、再び発生したので単独ページとして作成しました。
ちなみに『 ブースト0.5病 』とは・・
ある日突然、いつからかは分からないけど、ブーストが 0.5以上かからなくなる。
原因の特定が難しい(場合がある)。
何をやっても直らないこともある(らしい)。
随分前からスバル車乗りでネットをやっている人だったら誰でも知っている、恐怖の症状です。
一部のメーリングリストなどでは、不治の病とまで言われています・・・
とまあ前置きはこれぐらいで、まず序文。
シルビアターボやスカイラインターボなどは 0.7kg/cm2ぐらいのブースト圧だと聞いたことがあります。
しかし、インプレッサ WRXは、私の車でブースト 1.2kg/cm2程度かかります。こんなにかかっても正常値です。
実際にブーストをかけると、こんな感じでブーストがかかります。
MPEG1 DivX511 約5Mbyte GC8D純正タービン IHI RHF5 VF22 冬の寒い日に撮影
MPEG1 DivX5.2 約2.5Mbyte タービン交換後 VF28 真夏の暑い日に撮影
GC8、GDBインプレッサ、レガシー、シングルターボ、ツインターボ、どれも同じ 2000cc、EJ20エンジン、最高回転数もほぼ同じ、それで 280ps。
(トルクや圧縮比に差があるので、中回転域のブースト圧は違いがあると思いますが)それほどの違いは無いでしょう。
GC8A〜GC8Cと GF8の 240ps版は 0.8〜1.0
GC8D(Sti3)以降の 280ps版 1.1〜1.3
GC8F(Sti5)以降のトルク 40kgあるエンジン 1.4〜1.5以上?
はブースト圧がかかってしまって正常でしょう。
それが、この症状が出ると 0.5までしか上がらなくなる訳ですから、280PSが 180PS程度になっちゃう。と言うことでしょうか。
ではブースト 0.5病とはどんな故障か?
ブースト圧を制御している、デューティーコントロールソレノイドバルブというのが動作しなくなり、ブースト圧のコントロールがされず、タービンに付いているウェストゲートバルブがそれ自体の解放圧力値で排気ガスを逃がしてしまう為、それ以上ブースト圧が上がらなくなる。
ただこれだけなんですけどね。これが又ハマルと大変らしいんです。
で、使われているタービンによって頭打ちになるブースト圧が異なるようなのですが、レガシーが 0.5kg/cm2、インプレッサは 0.6kg/cm2ぐらいで頭打ちとなり
なんか加速が悪い。
いつもある、頭がクッと後ろに引っ張られる加速感が無い。
ブーストの掛かりが悪い。
いつもの回転上昇ではなく、なんかモサッとしている。
等の症状が出ます。
しかし現実問題として、1.0kg/cm2もかける加速は、低いギヤー(1速)ではそこまで上がりにくい。
かといって 3速 4速でフルブーストの加速などしたら、それこそ高速道路でも逮捕されてしまうような速度域となってしまいます。(上の動画は、高速の合流での映像です)
と言うことで、フルブーストの加速の検証自体が難しいし、アクセルの踏み方や気温によってもブーストのかかり方が違ってきますが、普段とちょっと違うか?と感じたら、この故障、ブースト0.5病を疑ってみるべきです。
ブースト計を付けているなら、2速ぐらいでブレーキをかけながらアクセルを踏んでいけば、ぴったり 0.5kg/cm2ぐらいで頭打ちになりますから、すぐに検証できます。
(ブレーキかけながらの検証は、人が飛び出してきたりするとブレーキ踏めずアクセル踏んでしまったりするので、十分注意して・・)
●なぜブースト圧が 0.5kg/cm2という中途半端な過給圧で頭打ちになってしまうか?
諸元表を見ると、ウェストゲートの作動圧力は 0.62〜0.67kg/cm2と書かれています。
このウェストゲートバルブへかかる圧力を、ブースト 1.2の時に 0.62〜0.67になるようコントロールすることにより、ブーストは通常 1.2ぐらいまで上がります。
しかし、ブースト 0.5病になってしまうと、このウェストゲートにかかるブースト圧が調整されないため、ブースト圧が 0.6まで上がると ウェストゲートバルブにも 0.6の圧力がかかってしまいます。すると、0.6しかブーストが上がっていないにも関わらず、ウェストゲートは開き始めてしまい、そこまでしかブースト圧は上がらなくなります。
ウェストゲートバルブ ==> 排気ガスがターボのタービンを通らないようにするバイパスバルブ。
このバルブが OPENすると、排気ガスが排気タービンに当たらずすり抜けてしまう為、コンプレッサーの回転が上がらずブーストが上がりません。
GC8D (not STi) WRXの純正ターボ、排気タービン側の写真です。
純正ターボは、正式な型番で言うと、石川島播磨重工製 IHI RHF5 VF22と言う型番らしいです。
左側の扇風機の羽根が排気側のタービン。排気ガスがこの羽に当たることにより、羽が最大 16万5千回転/分するとのことです。
で、右側のフタのような部分が、ウェストゲートバルブです。
手で押し開けてみましたが、本当にこんな固いバネで押さえ付けられている物が、吸気圧力の力で開くのだろうか?
って固さでした => MPEG1 DivX511 約4Mbyte
このバルブが、本来の 1.0〜1.5kg/cm2のブースト圧になるようコントロールされながら開けば、正規の 280psのパワーが出ます。
しかし、何かの原因によってコントロールされなくなると、ブースト圧が低いのに開き始めてしまい、0.5kg/cm2までしかブーストが上がらない病気となってしまいます。
●そもそもブースト圧のコントロールはどうやってコントロールしているのか?
(7) がデューティーコントロールソレノイドバルブと言います。
ここら辺に付いていて、内部はこんな感じになってます。
A. エアークリーナー、エアフローセンサー、スロットルバルブを通った空気がターボのコンプレッサー側(1)に入ってきます。
B. 過給された空気は、ターボから出た(2)後、インタークーラーを通ってエンジンへ。
C. 過給された空気の一部は、細いゴムホースを通ってウェストゲートバルブアクチュエーター(3)へ向かいます。
D. ウェストゲートバルブアクチュエーター(3)を押す空気の圧力が 0.6kg/cm2以上になると、ウェストゲートバルブアクチュエーター内部のバネが押され、(4)の棒が黄色い矢印方向へ動きます。すると、ウェストゲートバルブの軸が回転し、バルブが開いて排気ガスがウェストゲートバルブを通るようになります。すると、排気タービンに当たる排気ガスの量が少なくなるので過給圧は上がらなくなります。
E. そのウェストゲートバルブ(3)へかかる圧力を調整する為、ゴムホースは途中で分岐(5)し、分岐したホースはデューティーコントロールソレノイドバルブ(7)へ向かいます。
F. ソレノイドバルブ(7)が開くと、過給された空気はここから漏れ、(3)へかかる圧力が釣られて下がります。
G. ECUは、エンジンにかかるブースト圧(2)が 1.0〜1.5kgの時 (3)へかかる圧力が 0.6kgになるよう (7)のバルブを開けたり閉めたりコントロールします。このコントロールが行われることによって、最大ブーストが 1.0〜1.5kgで安定します。
(6)から過給圧が抜ければ (3)の圧力が下がって (4)のバルブはなかなか開かない => ブーストが上がる。本来の姿
(6)がスタックして閉まりっぱなし、又は ECUが SAFEモードに入ったりして (6)を全くコントロールしなくなると、(3)へは過給圧がそのままかかるので、0.5kgのブーストがかかると (4)のバルブが開いてそれ以上ブーストがかからなくなる。=> ブースト 0.5病
と言う事です。
今までの私が直した方法
私がブースト0.5病になった 1回目は、(6)の内部にあるバルブが完全にスタックしていました。
(6)側から棒で突っついてみても、中のバルブはビクリとも動きませんでした。
なので、デューティーコントロールソレノイドバルブを新品と交換してみましたが、それでもブーストは 0.5までしか上がりませんでした。
その後、デューティーコントロールソレノイドバルブが故障すると、ECUが Safetyモードになってしまい、ブーストのコントロールをしなくなる (ブーストコントロールをしない=(6)のバルブは閉まりっぱなし=ブースト0.5病)というのを知り ECUの RESETを行った所、ブーストは正常にかかるようになりました。
このときは、部品を買ったついでに、ディーラーで ECUテスターを繋いで ECUのエラーを見たのですが、デューティーコントロールソレノイドバルブの故障。とエラーが残っていました。
ということで
根本原因はデューティーコントロールソレノイドバルブのスタックだった。
それに伴い ECUが ERRORを関知して Safetyモードとなっていた。
バルブを交換してみたが、ECUが Safetyモードのままだったため 0.5病はそのまま直らず。
ECU RESETをして Safetyモードを解除。
ブースト 0.5病が完治。
と言う順番で直しました。
(原因と結果を知っているから簡単に書けますが、直るまでには随分日数かかりました・・)
つい最近起きた 2回目の時には、(6)のバルブはスタックしていませんでした。
と言う事で ECUの RESETだけで、正常にブーストはかかるようになりました。
ですから、ブースト 0.5病を直す順番としては、
原因を特定
原因を直す ((6)側から突っつく、エアーを吹き付ける、ECUに記録されている ERROR内容をディーラーで読みとってもらう等)
ECUを RESET
原因を取り除いた後 ECUを RESET。この順番が重要です。
原因を直さず ECU RESETしても、又 ERROR関知して Safetyモードとなってしまうし、原因直しても ECU RESETしなければ Safetyモードのままで 0.5病は続行してしまいます。
ちなみに ECUの RESETとは、バッテリーのマイナス端子を外し、ECUの学習内容を忘れさせる事を言います。
だいたい 4〜6時間ぐらい外しておけば忘れると思います。
私は念を入れて、夜外して次の日の朝まで外しておきます。
1時間程度の短時間では忘れてくれない事もあり、バルブスタックなどの根本原因が直っていないのか、ECUが Safetyモードになったままなのかの切り分けで、また無駄な時間を費やす事になります。ECUの RESETは確実に行いましょう。
ECU RESETの方法は、ハンドル下に来ている線をショートする。
又は、ECUテスター?(と呼ぶのかな?)を繋げてクリアー。
なら、すぐにクリアーできるという事です。
結論&後書き
1回目の時、ブースト0.5病になってしまった最初の原因は、デューティコントロールソレノイドバルブのスタック。
2回目の時はそれ以外。
2回目の時のように、原因がバルブ以外の別の所にある場合、特定するにはデューティーコントロールソレノイドバルブをコントロールしている ECUのプログラムがどういう条件で Safetyモードになってしまうかに関係してきますから、原因特定が難しく、不治の病となってしまうんだと思います。
ERRORが継続していたら、私の場合にも ECU RESETで直らず、ブースト0.5病が継続した状態となっていたのだと思います。
と言うことで、さてどうしようか?と思ったら、まずお手軽なのは、バッテリーのマイナス端子を外して半日放置の ECU RESETをしてみる。
放っておけば直るかもしれません、お手軽です。
ただし、ECU RESETを行うと、せっかく ECUに記録が残っていたエラーも消えてしまい、何が原因で 0.5病になってしまったかが分からなくなります。ですから面倒でなければ、ディーラーへ行き ECUテスター繋いでエラーを確認してもらった後、ディーラーで ECU RESETをしてもらう。
これぐらいだったら、タダでやってもらえそうな気がします。
エラーも確認できて ECU RESETも短時間で済むので、こちらの方がお手軽ですね。
で ECU RESETで直らなかったりすぐに再発してしまうようなら、又その時は考えると・・・
0.5までブースト上がるからそれなりに早いし、その他弊害は無いようなので、すぐに直らなければ生活に支障が・・って訳でも無いので、気長に戦えるトラブルです。
まあ長期戦にはしたくありませんが。
どうしても直らなかったら、市販のブーストコントローラーを取り付けてしまうのも手です。必ず直るでしょう。
(聞いた話で断定してしまうのもなんですが、コントロールも、設定も、出力も、全てそのパーツでやってしまうブーストコントローラーならば、確かに ECUが出力しなくとも、デューティーコントロールソレノイドバルブがスタックしていようとも、そもそもデューティーコントロールソレノイドバルブは取り外してしまうのですから、必ず直ると断定してしまって大丈夫なような気がします)
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